自然の色を纏う喜び、薬草染め工房さんなん

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「うわぁ、ええやないその色。いい色でてるわぁ。」
「この色とこの色の組み合わせもええわね。」
「よく似合ってるわ。」

月に一度、第二土曜日。丹波市山南町の薬草薬樹公園にて開かれる「薬草染め教室」。
ここでは10人の女性が中心となり、薬草染めの愉しさ、面白さをおすそ分けする体験教室が行われています。

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薬樹の樹皮を煮出す大なべの中からは、湯気とともに何やら効能のありそうな香りが。
その大鍋をかき混ぜる姿は、まるでこれから楽しい魔法を見せてくれる、気やすい魔女のようにも見えます。
薬草染めは、手持ちのハンカチや白いシャツを持参して思い思いに染めるだけでも
オリジナリティあふれる自分だけの作品が出来上がります。あらかじめ布を持ってきておいて染め、
それを思うままに衣服として仕立てあげる「達人」の姿も見られました。

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女性たちにはそれぞれに得意な分野がありました。
薬草に知識が豊富な女性。絞り染めをする際の絞り方が得意な女性。
抜染の型を作るのが得意な女性。それぞれが自分の得意分野を発揮したり、
またヒントを得たりお願いしあったりしながら、めいめいに作品を仕上げていきます。
彼女たちはそのように仕上げられた作品を出展、また薬草薬樹公園内での販売も行っています。
模様を作るために絞りなどの加工をし、より色濃く染めるための濃染処理を行い、
それを薬草薬樹を煮詰めておいた染液につけて染め、また色の持ちをよくするための媒染し、染液につけて干す。
このような工程を約2時間で手際よく行うことができ、薬草染め教室は子供からご高齢の方まで楽しむことができます。

「こういう草木染めのものは、どこででもできるのが良いところですね。私は何か生涯学習になるものがないかなあと探しているときに、この薬草染めに出会ったんです」

そう話す深田千尋さんは、小学校の教諭をされていたというこの薬草染め教室の中心メンバーのおひとり。在職中に薬草染めに出会われ、学校の授業などにも応用をされたようです。

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「草木染をしたハンカチやバッグなどを母の日のプレゼントにしたりもしました。こういったものは、
子供が大きくなっても大切に持ってくれていることが多いんですよ」とほほ笑みます。

その言葉のとおり、体験に来られた方にもこの薬草染めの作品との一期一会の出会いの魅力に魅せられ、
続けて参加されたという方の姿も見られました。

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薬草と一口に言っても季節ごとに多種多様なものが芽吹きます。
また、同じ薬草でも季節ごとに出る色味の違うものもあります。
例えばヨモギ。春は白い布を緑に染め、秋のヨモギは黄色に染まるのだとか。
そんな風に素材の持つ色味も様々、染める手法も様々。
またその微妙な風合いは、水、温度など一見些細に見えるようなことが複雑に影響し合うので、
同じものが二度できることはないのだそうです。
それが、薬草染めに長く、深く惹かれるゆえんの一つだと言えるのかもしれません。

「ビワの樹皮から出る色がおすすめですね」と語るのは代表の篠倉さん。
見せてもらったビワの薬樹染めはオレンジのような、ピンクのような、かわいらしい色合いです。

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「どのように染まるかは、染めてみるまで分からないんですよね。ほかにも、ローズマリーみたいなハーブでも染めることができるんですよ。年中、いろんな素材で楽しむことができます。」

先の見えないことだからこそ、楽しい。
時には「えーっ、この薬草でこんな色になったの?」と驚くようなこともあるそうです。
「いろいろ話している間にできてしまったわ」とはその日初めて参加された方のことば。
持ち帰れる作品だけでなく、ここで咲かせたおしゃべりの花も、
その作品を見るごとに思い出される素敵な『記念』になるのではないでしょうか。

interview / writing : Asako Saiki

| Information |

丹波市立薬草薬樹公園 丹波の湯「遊工房」
http://www.yakuso.gr.jp/yukoubou.html
団体申し込み・個人申込み随時受付中。
問い合わせは 0795-76-2121